HL7とは

HL7(※)とは、コンピュータ間での医療⽂書情報のデータ連携を標準化するための国際規格である。日本の医療情報分野においては、医療情報交換のために厚生労働省標準規格として制定されている規格として、HL7 version 2.5やHL7 CDA release 2等の国際標準規格に準拠したものとなっている。これら規格を活用し、医療機関内の診療、処方・検査・会計等のオーダリング、また医療機関間での地域医療連携等様々な形で医療情報の交換が行われている。

しかしHL7 version 2.5(テキスト)は策定されてから16年が経過し、後継として2005年にversion 3(XML)が標準として確立されたが、複雑な規格となっており、セキュリティ・弾力性・伸縮性・運用保守性・相互運用性等のメリットがある機能やサービスなどを分散化して処理する現在のWeb技術の動向になじまないという状況になっている。一方、海外では新しい標準規格であるHL7 FHIRが、普及しているオープンなWeb技術を採用し(Web通信での連携)、相互運用性を確保できる実装しやすい規格として注目されている。

FHIRとは

FHIRとは、HL7 Internationalによって作成された医療情報交換の次世代フレームワークであり、医療の診療記録等のデータのほか、医療関連の管理業務に関するデータ、公衆衛生に係るデータ及び研究データも含め、医療関連情報の交換をするように設計されている。このFHIRという名前は「ファイア」と発音し、

の頭文字をとっており「手早く設計し導入できる保健医療分野の相互運⽤性リソース」という意味であり次のようなメリットを提供する。

FHIRのメリット

FHIRの利点としては、以下が挙げられる。

医療機関からのデータは、これまでSS-MIX2データ形式で出力され、そのデータが地域の医療などで利用されていたが(地域医療連携)、FHIRを用いて医療機関側からのデータ出力を行えるようにすれば、そのデータを地域の医療機関のみでなく、患者のスマートデバイスに対して出力させることが、これまでよいも低コストな開発で実現可能となる。
なおApple社においても、2018年1月にiOS11.3から標準でFHIRをサポートするようになったことをみても、今後は患者(そして消費者)自身が自分の健康データ(=PHR/パーソナルヘルスレコード)を管理することへの傾向が加速されると思われる。今後はFHIRで受け取った医療機関からの医療データと、患者自身が測定した血圧や体重などのヘルスケアデータをあわせてPHRデータとして管理し、必要に応じて医療機関にその自分のPHRデータを見せて、より効率的な医療サービスを受けることができるようになるのも、近いのではないかと思われれる。

(※)Health Level Sevenの略で、「医療情報システム間のISO-OSI第7層アプリケーション層」に由来している。米国のHL7協会本部では数多くの技術委員会を組織し新しい標準の研究・作成を行っており、会員(米国及び国際支部国)の承認後発行される。日本においても大学病院などのシステム化や各種の標準化活動において本標準が採用されている。

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